なぜ今、世界が「核融合」に本気でマネーを投じるのか?巨大産業の変革のタイミングに迫る【Helical Fusion対談】

世界でいま、核融合が「未来の電源」から「2030年代の実産業」へと動き出している。

米国では数千億円規模の民間資金が流入し、2025年には Google が核融合電力の購入契約(PPA)を発表。巨大テック企業が実用化前提で核融合電力を組み込み始めるなど、核融合は世界のエネルギー市場で確かな存在感を持ち始めている。

日本でも、高市政権が次世代革新炉・核融合炉の社会実装をエネルギー政策の柱に掲げ、国家戦略としての支援が本格化している。

こうした世界・国内の流れの中で、株式会社Helical Fusionは2025年10月、核融合炉の最重要部品の一つである高温超伝導マグネットの開発実証にめどをつけ、最終実証装置の製造・建設に着手するという、世界に先駆けた進捗を発表した。

さらに同年12月には、アオキスーパーと 国内初のフュージョンエネルギーによる電力売買契約(PPA)を締結。実用にこだわるヘリカルフュージョンの計画を評価し、フュージョンエネルギーを“現実の選択肢”として捉えた民間企業の動きが日本でも見られ始めたことを示す象徴的な一歩となった。

2025年、イークラウドNEXTでも同社のファンドを組成・販売し、全国の投資家から「応援したい」「未来を作る投資だ」という強い共感の声が寄せられた。

今回、この最新進捗と核融合産業の未来を深掘りするため、株式会社Helical Fusion 代表取締役CEO 田口氏と、イークラウド株式会社 代表取締役 波多江が対談を行った。

※本記事は、インタビュー内容を一部編集・要約しています。

世界で何が起きているのか──Googleが核融合電力を購入する時代へ

イークラウド 波多江(以下、波多江)

今回の対談では、「なぜ今、核融合が現実味を帯びてきたのか」「なぜ世界中で本気の投資が集まっているのか」について、Helical Fusionの田口社長とお話ししていきたいと思います。

まず、ここ数年で世界の核融合を取り巻く環境はどう激変したのでしょうか?

Helical Fusion 田口(以下、田口)

最大の変化は、核融合が単なる「学術研究」から、ビジネスとして成立する「商用エネルギー」へとフェーズが変わったことです。象徴的なのは、実際にユーザーが「核融合による電力」を買う契約(PPA)を結び始めた点です。

2023年にはマイクロソフトが、2025年にはGoogleが、相次いで米国の核融合ベンチャーとの電力購入契約を発表しました。テックジャイアントたちが「ラボの中の研究」ではなく「商用電力」として核融合を扱い始めた。これは業界にとって決定的な動きです。「できた電気を使う人が確実にいる」という出口が見えたことで、開発や投資がさらに加速する好循環が生まれています。

高市首相が掲げる「次世代エネルギー」戦略で国策として産業化へ。

波多江

世界が加速する中、日本政府も動きを強めています。特に高市政権の発足以降、核融合に関する政策はどう変わりましたか?

田口

日本は元々、核融合の技術開発については世界でもトップクラスでした。2023年には「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」という国家戦略が策定され、2025年には「炉開発自体を日本で進める」「多様な方式の核融合炉を開発する」といったさらに明確な方針も打ち出されました。

そして直近では高市政権下での強力な後押しにより、それが具体的な予算として形になりました。

株式会社Helical Fusion 代表取締役CEO 田口氏

波多江

具体的にはどのような規模感なのでしょうか。

田口

2025年の補正予算では、フュージョン(核融合)向けに1,000億円超の予算が計上され、そのうち600億円が民間のスタートアップ支援などに充てられる見込みです。

これまでは大学や研究所への予算が主でしたが、これからは「民間」も主体となって実用化を進めていく。国としてリスクマネーを供給し、産業として勝ちに行くという姿勢が極めて明確になりました。

波多江

米国は民間投資、中国は国家予算で走っていますが、日本も官民一体となって勝負に出たわけですね。

田口

その通りです。日本の技術力を産業競争力に転換するために、政府が本気でコミットメントを示した。これは我々事業者にとっても、投資家の皆様にとっても非常に大きな安心材料であり、追い風になっています。

部品供給ではなくインテグレーターを目指す。核融合の本丸を担う企業の正体

波多江

核融合炉には多くの方式がある中で、御社が採用する「ヘリカル方式」にはどのような強みがあるのでしょうか?

田口

商用発電所として使うためには、「定常運転」「正味発電」「保守性」の3つの要件が不可欠です。現在手に入る技術で、この3つを同時に満たせる可能性が最も高いのが、日本で発明され約70年の研究開発の蓄積がある「ヘリカル方式」だと考えています。

「商用発電所の三要件」Helical Fusion社 発表資料より引用

波多江

その技術的優位性を活かして、御社はどのような立ち位置を目指すのですか?

田口

我々は「核融合炉全体」を設計・開発するメーカー、つまり「インテグレーター」を目指しています。
日本のものづくり企業は優秀ですが、部品や素材の供給(サプライヤー)に留まってしまうと、産業のリーダーにはなれません。

自動車産業でいうトヨタのように、完成品を作るポジションを日本が取らなければ、巨大な核融合産業の果実を海外に奪われてしまいます。「日本じゃないと、この炉は作れない」というポジションを取りに行く。それが我々の使命です。

大きな技術マイルストーンを達成し最終実証装置の建設着手へ。

波多江

直近の進捗も目覚ましいですね。2025年10月には重要部品である高温超伝導マグネットの試験成功と、最終実証装置「Helix HARUKA(ヘリックス ハルカ)」の建設着手を発表されました。

Helical Fusionとして統合実証に進むための主要開発項目「高温超伝導(HTS)マグネット」の試験における目標達成を「HTS Graduation!」のパネルとともに大学帽を投げて祝うHelical Fusionのメンバー

田口

はい。核融合炉実現のための最重要課題の一つをクリアし、いよいよ実用化前の「最後の実験」のフェーズに入りました。

さらに12月には、愛知県のアオキスーパー様との国内初となる電力売買契約(PPA)も締結しました。

契約締結を記念して握手をするHelical Fusionの田口昂哉 代表取締役CEO(写真左)、アオキスーパーの河野正幸 常務取締役 管理本部長(写真右)(STATION Aiで開催された記者会見にて)

波多江

スーパーマーケットが核融合の電気を買うというのは驚きでした。

田口

スーパーマーケットは巨大な冷凍庫を常に稼働させているため、電力消費が激しく、「将来にわたってクリーンで安定した電力を確保したい」という強いニーズがあります。アオキスーパー様には我々の全技術情報を開示し、「これなら実現できる」と確信していただき、契約に至りました。技術実証と顧客開拓の両輪が回り始めたことは、非常に大きなマイルストーンです。

人類最後のエネルギー革命が現実へ変わる「一番面白い」タイミング

波多江

核融合のような長期テーマにおいて、投資家は「どのタイミングで関わるか」が特に重要ですよね。

田口

そうですね。これまでは「夢のエネルギー」と言われてきましたが、技術的にはあと数年で実証完了が見えており、完了すればすぐに発電所の建設が始まります。

「本当にできるのか?」というフェーズから、「これができれば世界が変わる」という確信に変わる瞬間。その歴史的な転換点をご一緒できるのは、今しかない貴重な機会だと考えています。

波多江

私自身も核融合を取り巻く環境が、早く大きく変化していることを日々実感しており、非常にワクワクしています。

イークラウドでは「挑戦でつながる社会へ」というコーポレートメッセージを掲げて、こうしたワクワクする未来の基幹産業に企業や個人が参加し、応援できる機会を作ることを目指しています。

起業家が旗を掲げてこの領域で世の中を変えたいというところに対して、少しずつ応援が集まっていき、その挑戦者の後押しをして、それによって産業が少しずつ発展していくという世界です。

イークラウド株式会社 代表取締役 波多江

田口

核融合のような大きなテーマはとても一人とか一つの会社では成し遂げられないので、やはりいろんな方々に関わっていただくことが重要ですね。

波多江

実際にイークラウドNEXTで投資された個人投資家の方々からは、「次世代の日本、子供たちに誇れる投資だ」「もし商用炉が実現すれば日本の国際的立場も変わる」といったような熱のこもった声もいただいています。

投資としてのアップサイドだけでなく、社会的意義にも注目している投資家の方が多かったのが印象的でした。

田口

本当にありがたいことです。実際、日本のエネルギー自給率は現在約15%しかなく、富が海外に流出し続けています。これが安全保障上の弱点でもあります。

もし核融合が実現すれば、燃料は海水などから取れるため、日本が自給率100%、さらには「エネルギー輸出国」になれる可能性すらあります。

また、2050年には電力市場だけで1,000兆円規模になると予測されています。その半分でも日本発の技術で取れれば、自動車産業に匹敵する新たな国富になります。エネルギー問題と経済問題を同時に解決し、日本が世界一に返り咲く。そんな未来への期待をひしひしと感じています。

波多江

最後に、田口さんから投資家の皆様へメッセージをお願いします。

田口

人類はこれまで、はじめて火を使ってから、石炭、石油、天然ガス、そしてウラン(原子力)と、様々なエネルギーを開発してきました。核融合は、その次に来るものであり、恐らく人類最後のエネルギー革命になります。

核融合は、太陽や星のエネルギーそのものです。これ以上根源的なエネルギーは宇宙に存在しません。これが、人類が到達できる最後のエネルギーです。

波多江

「最後のエネルギー革命」。非常に重みのある言葉ですね。

田口

我々の技術はあと数年で実証完了を目指せるところまで来ています。しかし、実際の発電所を作り、社会実装するためには、先ほど申し上げたように、我々一企業だけでなく、多くの企業、そして個人の皆様の応援という「力」が絶対に必要です。

皆様の熱意と挑戦が集まって形になれば、日本から新しい巨大産業が生まれ、もう一度世界トップに返り咲くことができる。そして、本当の意味で持続可能で、責任の持てるエネルギーを次世代に残すことができます。

「未来のエネルギーを、日本からつくる」

自信に満ち溢れた日本を、自分の子供や孫の世代に残したい。
この想いを実現するために、ぜひ同じ船に乗って、私たちと共に挑戦していただければ嬉しく思います。

波多江

本日はありがとうございました。

田口

ありがとうございました。

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